まずは、医療系の学部に進学したきっかけを教えてください。

池上眞信さん（以下、池上）：外科医師として働く父の姿を子供の頃から見ていたので、僕も自然と医師を目指すようになりました。

若松愛美さん（以下、若松）：看護師を目指すようになったのは、南太平洋のフィジーに留学していた高校生のときです。肥満大国ともいわれるフィジーでは、若くして亡くなる方も多いんですね。将来は医療を通じて、人々の健康に寄与したいと考えるようになりました。

お二人とも、幼少期に海外で過ごされた経験があるそうですね。

池上：父の仕事の都合で、小学校入学前後の２年間を米国で暮らしました。その頃に養われた英語を聴く力はずっと残っていて、受験のときなどに役立ちましたね。

若松：私は小学校入学前に、短期間ですがオーストラリアで暮らしました。帰国後に通っていた小学校では６年間を通じて英語の授業があり、それに加えて英語スクールにも通っていました。だから自分は英語ができるっていう、根拠のない自信があったんです（笑）。

池上：僕も同じことを思っていました（笑）。一応帰国子女だから、自分は英語ができるに違いないという。

実際は違っていたと？

若松：中学校に進学してから、学校全体で「TOEIC Bridge L&R」を受験したんです。そこでようやく身の程を知らされました。えっ、こんなにスコアが低いなんて……と。

「TOEIC Bridge L&R」は、英語初・中級者向けのテストで、大学受験や一般企業の昇進・昇格要件などにも幅広く活用されている英語テスト「TOEIC L&R」への架け橋と位置付けられています。池上さんも受験されましたか？

池上：僕は高校で「TOEIC L&R」を受験しました。やはり結果は散々で、こんなにも自分はできないのかと気付かされました。でも、スコアによって自らの現在地を自覚することができたからテストには感謝しているんです。おかげでそれ以降は必死で勉強するようになりました。こんなことなら中学校で「TOEIC Bridge L&R」を受験しておけば良かった。そうしたら、もっと早くから本当の実力を自覚できたのに。

若松さんは、受験後の変化はありましたか？

若松：いいえ、その頃は勉強が好きではなかったので（笑）。ただ私は、英会話だけは得意だったんです。文法的にはめちゃくちゃでしたが、ネイティブの先生に英語が通じるのが楽しかったんですね。それが決め手となってフィジーに留学しました。
現地で「TOEIC L&R」を受験してみたら、またも結果は散々で。大学受験では帰国生入試を受けたくて、そのために必要なスコアを目指してようやくやる気に火が付きました。

効果的だった英語の勉強法を教えてください。

若松：フィジーでは英語から逃げようのない生活です。日常の会話でわからない単語やフレーズを、しらみつぶしに調べてノートに書いていきました。よく出てくる言葉は毎日のように耳にするので、そのうち日本語の意味は忘れて、こんな意味合いがあるというニュアンスで身に付くようになっていきました。

池上：僕は語彙力を付けたくて、まずは単語帳１冊を必死で丸暗記しました。書き込みができる紙の単語帳を使い、通学電車の30分で集中して取り組んでいました。語彙が増えると世界が違って見えるんですよ。「TOEIC L&R」を再受験したら、８００点近くまでスコアを伸ばすことができました。

若松：そうそう、勉強すればスコアって伸びるんですよね。私も何度か受験してそれを実感しました。

池上：「TOEIC L&R」は決して難問ばかりではない。勉強すればスコアが伸びていくよう、いい案配に作問されているんでしょうね。

ところで、ご家族は英語が堪能なのでしょうか？

池上：父は堪能ですが、「英語をマスターするより、小学生のうちは英語を使うための頭脳を鍛えたほうがいい。そのために、まずは日本語であらゆる教科をきちんと学ぶべき」という考えでした。

若松：母が学生時代から英語好きで、ワーキングホリデーや旅行で海外を飛び回っていました。オーストラリアで暮らしたときは、母がボランティアで通っていた幼稚園に幼かった私も連れられて行き、一緒に英語で歌って手をたたいて……。当時の楽しかった時間をすごく覚えています。その母が、英語は人とつながるためのコミュニケーションツールだよと教えてくれました。

池上：うちの父も同じことを言っていましたね。英語は世界中の人が使っているツールで、外国では幼児でも英語をしゃべっている。それくらいハードルの低いものだから、気負わずに学べばいいと。

英語というツールを身に付けたお二人は、将来どのように活かそうとお考えですか？

池上：医師として、世界の医療の最先端に触れたいと考えています。外科手術の領域では、やはり米国。留学するだけでもかなりのスキルアップになるでしょう。現地で働くことが目標ですが、最低限留学は実現したいですね。これもやはり、米国で学んだ経験のある父の影響です。

若松：生活と医療を結び付ける専門職として、途上国の人々が幸せに暮らせるように貢献したい。それが私の目標です。病院の中で完結するのではなく、地域の中でできることを見つけたい。いずれは健康医療などの分野を学ぶため、海外の大学院への進学も視野に入れています。